在外研究中のシドニーでの住居探し

現在、在外研究でオーストラリアのシドニーにいます。2023年4月から2024年3月までの一年間滞在しますが、5月に家族が到着してからもなんやかんやバタバタしていて、気づけばもう半分が過ぎたことに気づいてゾッとしてます。

着いてすぐに住まい探しに取りかかりましたが、アパートの契約までこぎつけるまで1ヶ月弱かかりました。ブログをまとめるのも遅いくらいだから、どうせグズグズやってたんだろうと思った方もいるかもしれませんが、いろいろ事情があったんです(言い訳)。ということで、シドニーでの住まい探し事情についてまとめておきたいと思います。

住宅事情

オーストラリアの金利が上がって住宅ローンを借りれない人が賃貸に流れている、あるいはコロナの影響で賃貸物件の建設が進まなかった、といったことで、賃貸物件の需要が上がっているようです。その結果、家賃が昔より上がったり、私のようになかなか物件を借りることができない人が出てきたり、といった問題が起こっているそうです。現地のメディアでも “Rental Crisis”とか “Housing Crisis”とかいってしょっちゅう取り上げられてます。

こんな状況なので、rent(家賃)はべらぼうに高いです(もともと高いみたいですが)。日本にいる間にも、同僚の先生や現地の方から、最低でも$500(週当たり…)は要るよと聞いてました。日本だと東京23区内の駅徒歩圏内に住めそうな値段(東京に住んだことないのでイメージで言ってます、違ってたらすみません)ですが、実際に$500前後の物件へ内見に行ってみると、うーんという感じの物件(古い、汚い、臭い、暗い)が多かったので、少し予算を上げて探しました。

家探し~内見

不動産屋さんに行って物件を紹介してもらうこともできると思うのですが、最近はほとんどの人は以下のようなサイトで探しているようです。私もそうしました。

https://www.realestate.com.au/
https://www.domain.com.au/
https://www.tenantapp.com.au/Rentals

家賃のところが “deposit taken” になっているものは、既にdeposit(手付金のようなもの)が支払われていて、現時点では(そしてほとんどの場合その先も)契約はできない状態のものです。

内見(inspection)は基本的に不動産屋さんの決めた日・時間(15分ほど)にしか開かれません(リクエストすれば、新たな日程を設定してくれる場合もあります)。指定された時間に建物前に集まっていれば、不動産屋さんが来て部屋に案内してくれます。日本では「オージーは時間にルーズ」的な話を耳にしたこともありましたが、内見に関してはそんなことはなかったです。時間通りに始まっていました。5分遅れて行ったら、他に誰もいなかったからか、撤収し始めていたこともあったくらいです。

入室する際に名前と電話番号を聞かれます。事前に上記のサイトから内見の登録ができる物件もあり、その場合は名前を伝えるだけでOKでした。伝えた電話番号宛に、ショートメッセージで応募フォームへのリンクを送ってくれるところが多かったです。ちなみに、住居関連に限らず、オーストラリアでは何かにつけてショートメッセージを使うので、現地の電話番号はあったほうがいいと思います(日本の番号とは桁が違うので、システムでハネられることがあります)。

設備について

以下の情報は、私が探していた条件下(アパートメント、1ベッドルーム)での話で、間取りやsuburb(地域)、家賃によっても違うと思います。あくまで参考情報として。

キッチン

オーブンはほとんどのところに備わっていました。食洗機も付いてるところも多かったです。中には冷蔵庫のある物件もありました。ガスやIHの他、古い物件だと電熱器のところも多かったです。

バスルーム

古い物件なら浴槽がありますが、新しめの物件だと浴槽はほとんどない印象です。シャワーブースに扉があるところとないところがありましたが、冬の寒さを考えると、扉付きの方がいいのかなと思います。

トイレですが、暖房便座や洗浄機能がついていた物件は皆無でした。日本のトイレを愛する方は、日本から貼るタイプの便座シートや、携帯ウォシュレットを持っていくといいと思います(私は持っていきました)。

洗濯関連(laundry)

洗濯機がついていたところは珍しかったですが、乾燥機は多くの物件に付いてました。古い物件だと、部屋の中に洗濯機置き場がなく、共用の置き場しかない物件もありました。

エアコン

ある物件・ない物件が半々でした(なぜかエアコンはほぼ100%ダイキン製)。エアコンありの物件でも、エアコンがついているのはリビングのみというのがほとんどで、寝室にエアコンがあるという物件はほぼ見当たりませんでした。夜は結構涼しいみたいなので、なくても何とかなるのかもしれません。またわかったらここに追記します。ちなみに、4月~9月(こちらの晩秋~初春)の間は、エアコンは数回しかつけませんでした。

水道代

郊外だと、水道代が家賃に含まれているところが多かったです。街中の方だと、別途支払う必要があったりします。物件情報のページには書かれてないことが多いので、内見時に確認したほうがいいと思います。

駐車スペース

駐車スペースはほとんどの物件に付いていました。利用料金のようなものはなく、家賃に含まれていると思います。ちなみに、こちらは車を買っても車庫証明みたいなものは不要です。

駐車場の片隅に物置(ケージ)が備わっている場合もあります。

家具

滞在が一年のみなので、最初はfurnished(家具が備わった)物件を狙ってましたが、物件の件数も少なく、応募しても審査が通りませんでした。furnishedの物件は相場より家賃が高いですし、上記のような厳しい状況でもあるので、短期滞在でもfurnishedにこだわらずに探した方がいいかもしれません。なお、furnishedと言っても、備わっている家具の種類は物件によってまちまちでした。

シドニーには、IKEAもありますし、Kmartのように家具・家電が安く買える店も多いです。あと、オーストラリアでは中古売買が盛んなので、Facebookのマーケットプレイスや、Gumtreeのようなフリマサービスでもお値打ちに揃えることができると思います。

設備についての注意

物件検索サイト上の物件情報にも、上記のような設備の有無は書いてありますが、そこの記述が間違っていることも多々ありました。実際に内見に行き、直接不動産屋さんと一緒に確認するのがいいと思います。

先に述べたとおり、今はなかなか審査に通らないので、設備に細かい条件を付けると、かなりしんどいです。こだわる点は1-2点に絞って探すのがいいのかなと思います。

応募

契約は早い者勝ちではなく、不動産屋さんや大家さんが審査して応募した人の中から一番いい人を選ぶ、という形です。日本のように、一日で何件も候補の物件を回って、そこで即決する、ということはできないので、自ずと長期戦になりやすいです。

提出書類

応募のときは、以下のような書類を提出しました。

  • 合計100ポイントになるような身分証明
  • ビザのGrant Letter、あるいはVEVO
  • 収入の証明
    • 1‐3ヶ月分の給与明細
    • 日本の職場に発行してもらった今年度分の給与見込み証明書(英文)
    • 銀行口座の残高証明書(英文)
  • 受入先の機関からのInvitation Letter
  • 職場に発行してもらった雇用証明書(英文)

Webシステムやメールで応募するところが多かったので、スキャンしたデータを持っておくと便利だと思います。持ってない・入手できないものがあったときは、その都度不動産屋さんに相談しました。

家賃

応募フォーム・書類に家賃を記入する項目があります。そこにはもともと設定されている値段とは違う値段を記入することができます。もともとの値段に、$10とか$20とかを上乗せした値段を書くと審査が通りやすいと聞きました。オファーされている値段より安い値段を書いた場合にどうなるかはわかりません。

契約期間

賃貸の契約期間の項目は、6ヶ月、12ヶ月などの中から選択する形になってます。私の場合は、賃貸期間が4月下旬から3月下旬=11ヶ月でしたが、Webフォームの場合、11ヶ月というのはシステム上では選べないので、備考欄に事情と一緒に書いたりしました。

職場や収入の情報

ちゃんと働いていて家賃を払うことができることの証明として、職場や収入の情報を書きます。給与を週給換算で記載しないといけない(こちらは家賃も給料も週単位で記載することが多い)ので、ボーナスの扱い等で少し戸惑いました。応募システムによっては、入力した上司の電話番号宛にショートメッセージで確認メッセージを送ったりするものもあって、(もちろん事前に了承は得ていましたが)恐縮しました。

自己紹介

頭を悩ませたのがこれです。なぜこの物件に入居を希望したか、支払い能力はあるか、いかに自分が物件にぴったりな人間なのかを書くと良いらしいです。ただ、長く詳細なものがいいというアドバイスと、サッと目通しできる短いものがいいというアドバイスもあって、どっちがいいのかは結局分からずじまいでした。

参考: https://www.realestate.com.au/advice/how-to-write-a-cover-letter-for-a-rental-application/

他にも、以前の賃貸歴、前の物件の大家さんからの推薦書(reference)などがあれば出せと言われます。アパートを貸すに値する信頼できる人物かどうかの判断材料になるみたいです。上司に書いてもらうという手もあるとのことなので、受け入れ先の先生にお願いしてみてもよかったのかもしれません。

応募後から、審査パス、そして入居まで

応募後は、審査に通ったら(あるいは通りそうなら)電話やメールで連絡が来ます。入居の意志はまだあるか、いつ入居できるか、とかそういうことを聞かれます。一方、通らなかった場合は、システムから機械的なメール(We regret to inform you that…から始まるやつ)が来ることもありますが、そういうメールすらない場合も多かったです。確認の電話をかけて直接「お前はだめだ(意訳)」と言われるパターンや、物件情報ページ上の価格が”deposit taken”になってて落ちたことを知るというパターンもありました。

審査をパスした場合は、depositとして一週間分の家賃を払うように言われます。払えば、1週間は物件をキープできて、そのまま契約した場合は家賃に充当されます(が、キャンセルしたら、返ってきません)。契約前にdepositを含めて2週間分の家賃を前払いすることが多いみたいです。

その後、bond(敷金的なもの)として家賃の4週分をオンラインで州の機関に支払い、不動産屋さんと契約書類を交わして鍵を受け取って契約完了です。あと、入居してすぐに現状チェック(すでにある傷や痛みのチェック)をして、1週間以内に不動産屋さんに返送しなければいけません。それもまた別のブログ記事にまとめようと思います。

(追記 2023/10/11)記事を書きました。

実際にやってみての感想

1か月弱で、内見は30件ほど、応募は15件ほどしました。

住まい探しが想像以上に長期戦になったのは、選んだのがそれなりに人気の地域だったこと、滞在が短期かつ中途半端なこと、オーストラリアでの賃貸歴がないこと、日本での収入がこちらの人の収入と比べて見劣りしたこと(オーストラリアの給料水準は高い)、といったところかと自己分析しています。あと、イースター休みを挟んだという、カレンダー的要因で長引いたところもあります。

現地の人と話していたら、現地の人でも数ヶ月決まらないこともあるから、1ヶ月弱で決まったならまだラッキーだと言われました。ネットでも数ヶ月は覚悟した方がいいという書き込みを見かけました。当初は「在外研究期間に入る前に家を探しに来るべきだったか」と思ったりもしましたが、こういう話を聞くと、事前に1-2週間来たところでどうにもならなかったんじゃないか、とも思います。

ただ、希望の条件をあれこれ言わなければ、すぐに決まることもあるみたいです。実際、私もうるさい工事現場の真ん前の物件とか、条件がよくないのに家賃が強気のコスパの悪い物件からは、審査パスの連絡が来ました。厳しい状況でも多少の人気・不人気はあるみたいです。ただ、そういうところも、その後1週間もすれば入居者が決まってました。

あと、私の場合は家族連れということで、大学へのアクセス以外にも、学区やスーパーへのアクセスなども考慮に入れながら地域を選びましたが、そういうことを考えなければ、もっと住まいが見つかりやすい地域はあるんじゃないかと思います。

最後に

とにかくお伝えしたいのは、今のシドニーで住まいを見つけるのは結構シンドイかもしれない、ということです。けどホテルはすぐに見つかると思うので、皆さんぜひシドニーに遊びに来てください。

(追記 2023/10/25)こんな記事を見つけました。個人間での契約や内見なしでの契約にはリスクもありそうです。

2022年振り返り

毎年恒例の一年の振り返り。年越しそばを食べてボーっとしながら過ごしたいなと思いつつ、毎年のことなので一応書き残しておく。

研究

研究に関しては、今年はまったくの一年だった。今年に入ってから懸案事項が多くて心身ともに落ち着かず、アウトプットのためのまとまった時間もとれず、集中もできず、データの整理とか分析に取り組むのがやっとの一年だった。これはひとえに時間の使い方が下手なことによるのだけど、今後も状況は変わらないので、もっと細かくタスク管理して、うまくやりくりしていきたい。

同僚先生方のご尽力のおかげで、来年度は一年間の在外研究の機会をいただけることになった。今よりも集中できる環境になるので(というかなってほしい)、研究をしっかり進める一年にしたい。

学会参加については、昨年同様控えめだったけど、夏と冬に久しぶりの出張で、対面開催された学会・研究会に参加できた。来年はせっかく海外でいるので、国際学会にも顔を出してみようと思っている。

授業・仕事

仕事は昨年とほぼ変わらず、3キャンパスを移動する毎日であった。研究室のあるキャンパスに一日おきにしか出講しないスケジュールというのは、かなり自分の生産性によくない影響を与えていると思う(同僚の先生がたと比べると自分なんかはまだマシな方なのだけど)。こればかりは何年やっても慣れない。同じような状況の方がいたら、うまくやりくりできるコツをご教示いただきたい。

あとは、9月に第2子(娘)が生まれて、11月に育休(産後パパ育休)をとらせてもらうことができた。これはブログに書きたいと思って書けてなかったので、今後ちゃんと書く予定。

あと学会の仕事で、サイトの大枠の作成と更新をお任せされたのだけど、これはまあまあいい仕事ができたと自負してるw

身の回り

Googleストアの大盤振る舞いの下取りセールのおかげで、携帯電話を一年で2回も買い換える(Pixel 3 XL → 6 → 7)という生まれて初めての経験をした(ちなみに1回目と2回目の間に、初期不良による機体交換を挟んでいる…)。テック系のYouTuberでもやってれば動画のネタにでもできたのだろうけど、ただ機械いじりをして楽しいだけの経験で終わった。セットアップ作業は嫌いではないけど、3回目はさすがに食傷気味だった。しばらくは今のモデルを使い続けたい。

新しい家族との出会いがあった一方で、お別れもあって、なかなか落ち着かない一年だった。

最後に

社会がコロナ前の雰囲気に戻りつつある中で、久しくお会いできていない方々に会えない状況がまだ続きそうでさみしいですが、どうか僕のことを忘れないでください。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

2021年振り返り

一富士二鷹三茄子

毎年恒例の一年の振り返り。一個前の記事を書いてたら、年内に間に合わなかった…w

ということで、元旦に読んでくださる方もいると思うので、縁起の良い言葉を見出しに置いておきました。どうぞよい元旦をお過ごしください。

研究

昨年投稿した実践報告1本が年明けに採択・掲載された。また、もう1本実践報告を投稿して、年明けに発行される予定。昨年は研究論文を頑張って書いたのに、今年は分析やデータ整理などの準備にかかりっきりで、論文執筆までたどり着かなかったのが残念だった。後述するように、研究室に行く回数が減ったことも影響してるような気もするが、来年(2022年)はいろいろ先に進めたい。

学会参加は昨年同様控えめだった。オンライン学会だと一日講演や発表を聞いて、誰とも話さず終わるというのが多いので、仕事のバタバタも相まって、つい足が遠のきがちになってしまった。とはいえ、一部のイベントでは久しぶりの先生たちとお話しできる機会もあってよかった。今度は対面でお会いしたいものです。

あと、メンバーとして入れていただいた中部地区英語教育学会の課題別研究プロジェクト「英語教育研究者のための研究倫理と個人情報保護の手立て」が採択された。久しぶりの共同研究プロジェクトなので、頑張っていきたい。

授業・仕事

春学期は、対面授業→オンライン授業→対面授業と切り替わり、秋学期はオンライン授業→対面授業と切り替わった。それと同時に、一部の学部では通年でハイブリッド授業をするという、授業形態が目まぐるしく変わる慌ただしい一年だった。しかも、昨年度から始まった3キャンパス出講のおかげで、研究室のあるキャンパスには週2日しか出講しないということもあり、現任校に着任してから一番研究室に行かなかった一年だったような気がする。準備は大変だし、制限も多いのでやりづらさを感じるのは昨年同様だが、来年はどうなることやら。

嬉しいこととしては、昨年度のオンライン授業時の取り組みに対して大学から表彰していただいた。表彰のような輝かしいものとは縁遠い人生を送ってきたので、正直気恥ずかしさしか感じないが、評価してもらえたこと自体はとても光栄なことである。正直、自分の実践に対しての自己評価は全然高くないので、今は嬉しさよりも、表彰に恥じないようにもっと頑張らないといけないというプレッシャーの方が大きい。

身の回り

引っ越しして生活環境が大きく変わってしまったので、一年の3分の1くらいがあっという間に過ぎてしまった。通勤距離・時間も長くなったので、今まで以上に時間をうまく使わないといけないのが今年の課題。

とはいえ無理して心身を壊してはいけないので、とりあえず健康第一で過ごしたいと思う。

最後に

夜遅くなって眠たいので、短めになりましたw こんな私ですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2020年振り返り

毎年恒例の一年の振り返り。割と早めに書き始めたのに、結局ギリギリの投稿になったw

研究

3月まででパズルの仕事から解放されたこともあって、ようやく自分のことに時間を使える…と思った矢先のコロナ騒ぎで結局てんやわんやした4月以降であった。しかし自分の中でちょっとした転機もあり、(こんなのでも)かなり前向きに研究に向かうことができた。

今年はほぼすべての学会がオンライン開催になって、いろいろな学会で発表したり、参加することができるチャンスだったのに、なんとなくしんどくてかなり見送ってしまった。参加するのに普段のオンサイト学会以上に気合いが必要だったのだけど、問題はその気合いがほとんど授業に持っていかれてしまったことである。

ということで、今年の口頭発表は、お招きいただいたオンラインのシンポジウムの発表1本のみ。こんな私をお招きくださった主催者の先生には感謝の念しかない。ご期待にお応えできたのならよいのだけど。

一方で論文の方は、学会参加もなく、秋学期になって授業のリズムに乗れたこともあって、結果的に現任校に着任してから一番アウトプットができた一年だった。シンポの発表をもとに書いた論文1本が公開された。あと、これまでやりだめしていた研究をもとにした論文2本が採択された。もう1本、春学期のオンライン授業に関する実践報告も投稿した。数年分を一気に済ませた感じがあるが、来年もこの調子でやっていきたい。

授業・仕事

春学期はオンライン授業になった。当初は大学の教務連絡などに使用するショボいポータルサイトにPDFを載せるだけの授業をしていたのだけど、6月以降はMicrosoft Teamsを使った授業に切り替えて、ジグソーリーディングなんかをやっていた。これまでは大学の公式のLMSなどなかったので、そこだけはよかったなと思う(ちなみに対面授業が再開した秋学期以降も、連絡や授業内容の案内、課題の配信・回収をすべてTeamsでやっている)。

秋学期からは、担当する授業のほとんどが対面形式になった。学生を密集させないように、学生の発言は最小限に、欠席者にはオンラインで受講できるように、という大学からの注文もあって、同じ時間、同じ場所に集まって実施する意味のある授業をできなかった自覚はある。今後の大学の方針にもよるが、来年度からの授業のやり方も考えないといけないと思っている。まだ今年度の授業終わってないけど。

そういえば、オンライン授業等で使うためにSurfaceを買ったのだけど、レビューを書こうと思って書いてなかった。また書こう。

身の回り

今年度から週2日も他キャンパス(それも2か所)に出講することになってしまって、しかも両方とも車で通勤しにくいキャンパスだし、かといって地下鉄で通うのも避けたい、ということで、自転車を買った。一つは片道10キロほどの距離があるので、まあまあの運動してる感が得られている(実際に運動になっているとは言っていない)。もう少しあったかくなったら、もうちょっと遠くに行ってみたいなあと思ったり。

あと、おかげさまで家族もみんな元気でやれている。息子はしゃべれることが多くなってきて、おもしろくなってきた。こまっしゃくれたことばっかり言ってるけど、それもおもしろくていい。来年も、あまり多くのことを求めずに、とりあえず来年もみんな健康で一年過ごしたいと思う。

 

最後に、本年は大変お世話になりありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

「Rを用いた〇〇入門」ワークショップを担当するときの注意点

去年のFLEAT VIIでのワークショップは、時間(もとい時間のマネジメント)不足でだいぶ消化不良に終わってしまった。参加者の皆様には申し訳なく思っております。。

今回は、単なる“R”の入門講習ではなく“Rを用いた統計処理” の入門講習という依頼だったので、Rの入門だけで終わるわけにもいかずにいろいろ詰め込んでいたのだけど、それが裏目に出てしまった。

ほとぼりも冷めたと思うので、今後のために(これから先、そんな話は来ないかもしれないけど)、 純粋なR入門講習ではなく、Rを用いた〇〇入門講習という、時間に制約のあるワークショップを担当するときの、自分なりの注意点をまとめておきたい。

環境を統一する

今回は、会場PCだけでなく各自持参したPCも使用可能とした。その結果、Windows/Macネットに繋がっている/いないRStudioが入っている/いない会場PCを使用する/しないなど、参加者の環境が様々で、トラブルシューティングにかなり時間を食ってしまった。WSの時間は限られているので、そういった時間のロスは避けたい。したがって、参加者のPC環境を事前に、できるだけ統一しておくことが望ましい

一番楽な方法は、会場PCのR/RStudioを使うことだろう。 [efn_note] ただし、この方法では、WS終了後に各自のPCで会場PCと同じ環境を再現できない人が出る可能性がある。 [/efn_note] 環境が全員一緒なのでサポートもしやすいし、ネットワーク接続も確保されている。

持ち込みPCを使用する場合は、生RもしくはRStudioのどちらを使用するかを予め決めておく。個人的には、RStudio入門講習でないのであれば、生Rでいいのではないかと思う。RStudioの使い方を説明してるうちに、肝心の中身の時間が減ってしまうのは避けたい。

また、追加でパッケージのインストールを行うことになるので、ネットワークへの接続も前提としておく。 [efn_note] どうしてもネット環境が準備できない場合は、事前に参加者各自でインストールしておいてもらうという方法もあるが、R自体の入門者がいた場合には難しい。 [/efn_note] 会場の無線LANの情報を提示する、会場に無線LANがないなら各自での準備をお願いする、といった対策が必要だろう。

受講対象者を絞る

今回は、特に受講対象者は指定していなかった(と思う)。実際は、参加者のRスキルやPCスキルは様々で、これもWSの進行上悩ましい問題である。

今思えば、このツイートで先輩先生がおっしゃったとおり、受講対象者を絞るべきだったと思う。「変数への代入、データの読み込み、関数の読み込みなど、Rの基本的な操作ができる方」「Rは使っているが、〇〇パッケージを用いた〇〇はできない方」といった具合に、どういった層に向けてのWSなのかを明示する。そうすれば、ある程度は参加者の足並みを揃えることができたはずだ。さすがにPCスキルについて言及するのは野暮だと思うけど、もしかすると言ったほうがいいのかもしれない。

ハンズオン中心か、トーク中心かを決める

今回は、ハンズオンも入れつつトークも入れるという、半々の形であった。要するに、どっちつかずである。

先のツイートの先輩先生は、「話す内容を削ってハンズオンの時間を入れるといい」というアドバイスをされていたが、一方で別の先輩先生からは、「ハンズオンなしで全部トークにすればいい」というアドバイスもいただいた。

これはどちらも正しいと思う。つまり、どっちつかずではなく、どちらの形式を中心とするかを決めないといけないということだろう。まずはWSの目的に合った形式を選ぶ。もし技術の習得を目的とするならハンズオン中心とし、いちばん大事なハンズオンの時間をしっかり確保する。もし知識・考え方の習得を目的とするならトーク中心とし、ハンズオンはなし、もしくは必要最小限にしたほうがよい、ということだろう。

まとめると

以下のようなことを予め決めておいて、その上でアブストラクトに記載しておくとよい。

  • 使用PCやRStudioの有無など、環境を指定する
  • WSの対象となる層を具体的な条件で絞り込む
  • ハンズオン中心でいくか、トーク中心でいくかを決める

逆に言えば、受講する側はこれらを事前に確認しておけば、参加したけど期待はずれだった、みたいな事態を避けやすくなるのではないかと思う。

書き上げてから、これってRを用いた〇〇入門講習だけじゃなくて、R自体の入門講習にも同じことが言えるなって思った。まあいいや。


2019年振り返り

毎年恒例の一年の振り返り。このブログの投稿の2つに1つが振り返りじゃなかろうかと思うくらいブログを書かなかった一年だったw

今年は学内業務(パズル)にかかりっきりの一年だった。キャンパス移転の煽りを食ったり、いろんなトラブルが続出して一旦組んだパズルが崩壊することの繰り返しであった。いろんな先生がたに助けていただいて、かなりのエフォートを割いて今のところなんとかやれてるけど、最後までどうなるかはわからない。一応来年度4月までの仕事なので、それからはなんとかやれるだろうと思ってるけど、どうなることやら。

ということで研究らしいことはほとんどやれなかった。他大学でパズルを担当されてる先生たちが研究されているのを見て、自分もなんとかなるだろうと思っていたけど、そう甘くはなかった。時間は自分で作らなければとつくづく反省。

一応、FLEAT VII(LET)でワークショップは担当した。LET絡みの大会で2回目のRのハンズオンセミナーだったけど今回も(主に時間配分の面で)うまくいかなかった。これも振り返りを書こうとして書きかけで放置してたけど、さっさと書き上げて投稿しちゃおう。

プライベートは、つらいこともあったけど、まあまあ順調だった。息子も大きくなって、にぎやかな家庭になってきた。学会に連れて行ったとき、かわいがってくれた先生がたありがとうございました。妻も来年度研究に復帰する予定なので、今年も託児所の有無にかかわらずいろんな学会に連れて行く予定。

研究にしても仕事にしても(ブログ投稿にしても)どうせ完璧になどできないのに完璧主義をこじらせてグズグズしてしまう自分の悪い面が表に出てきた一年だったと思うので、来年は研究も仕事もDone is better than perfectの精神でやっていきたい。

最後に、本年は大変お世話になりありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

2018年振り返り

毎年恒例の一年の振り返りを。

研究について。論文投稿はなんとか1本できた。院生時代より仕上げるのにすごく時間がかかってしまった。昔より書くスピードが遅くなったのもあるけど、それよりも研究以外の業務(もちろん家庭のことも含む)が多くなってきて書くためのまとまった時間が取れなくなったのが大きいと思う。一方で研究以外の業務の合間を縫って時間を確保する体制が少しずつできてきたように思う。この調子でどんどんやっていきたい。

共同研究では、敬愛する先輩先生と、初参加の教育工学会で発表する機会をいただいた。学部生のときに『英語教育』で記事を読んで一方的に憧れていた先生とご一緒させていただけたのは本当に嬉しかった。あと自分の名前が入っている論文が国際誌に1本、国内誌に1本、それぞれ採択された。内容のみならず、査読への対応など勉強になることが多かった。こういう機会は今後も大切にしていきたい。

一方で今年は自分がメインで人前で話す機会はなかった。発表が増えると書く時間とかインプット量が減ってしまうので意図的にそうしたのだけど、それが吉と出るか凶と出るか。

研究絡みだともう一つ、5月の学会大会の実行委員長業務があった。学会内外の先生方に多大なご援助をいただいたおかげでなんとか終えることができた。しかしこれで春先の自分の時間はほとんどもっていかれた。某所の事務局で会を回した経験がなかったら潰れていたかもしれない。いかんせん開催校にいたのが自分一人だったこともあり、かなりしんどかった。自分のような立場も力もない若手ががんばらないと回らないような仕組みは、もともと無理があるわけなので、変えていかないといけないと思う。

大学内では、仕事をいろいろ任せてもらえるようになってきた。来年度からもいろんな仕事を担当することになりそうなので、信頼を裏切らないように頑張っていきたい。

家庭のことは順調そのものだと思っている。実際どうなのかは家内に直接聞いてみてください。

来年度の長期的な目標は、どうせ有言不実行になってしまいそうなので設定しないでおこうと思う。とにかく、その瞬間瞬間の仕事にベストを尽くすことに集中したい。

ということで本年は大変お世話になりありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

Home away from home

先日の大阪でのLET全国大会の後、せっかく近くまで来たのと、高速道路のインターチェンジができて行きやすくなったということもあって、昔住んでいた街に少しだけ寄ってみた。高槻市というところで、小5の春までをここで過ごした。社会科での地域学習の授業も受けているので、高槻市の小学生程度にはこのあたりのことも知っている(逆に和歌山は地域学習がひと通り終わってしまった後の小5の夏から転校したので、地域のことを知るのに大変苦労した)。

高速道路を下りると、よく使ったバス停の周辺に出た。昔は山しかなかったのに、インターチェンジができて、今は大きな交差点になっていた。実は数年前に和歌山から名古屋に戻る道中にバスに乗って立ち寄ったことがあったのだが、そのときにはまだ工事中だったはずだ。自分の住んでいたときの記憶、数年前の記憶、今回の風景の3つにかなりギャップがあったので、戸惑った。

昔住んでいた宿舎(団地)はもう潰されてしまって、今は完全に住宅地になっていた。そびえ立っていた給水塔も、ボール遊びや鬼ごっこをした(あと骨折もした)公園も、同級生と野球をした広っぱも、全部なくなってしまった。数年前にはそのときにはまだ建物が取り壊されただけで、多少の雰囲気は残っていたように思うが、今回はもうその面影もなくなってしまっていた。

宿舎の並びから道を挟んで向かいの通りには、お店や住宅が並んでいたのに、それもかなりなくなってしまっていた。よくおつかいに行ったスーパーも、道路拡張で跡形もなくなっていた。小学校までの通学路だった商店街も、かなりのお店が閉まっていた。

とはいえ、昔と同様に残っているものもあった。

よくコロッケを買いに来た商店街のお肉屋さんは今も営業中だった。このお店は店頭でコロッケやミンチカツを揚げていて、前を通るととてもいい匂いがしたのだ。今まで食べたコロッケの中でここのが一番美味しいと思っていたけど、この日もやっぱり美味しかったので、思い出補正ではなかったようだ。また買いに来ますね。

父親に連れられて鉄棒の練習に来た、宿舎の敷地外の公園も健在だった。逆上がりができず、悔しいのと悲しいので、泣きながら練習したのだった。泣いているところを同級生に見られて、恥ずかしかった記憶もある。今は涙を流すことはほとんどなくなった。ましてや悔し涙など長い間流していない。あの頃のひたむきな気持ちは失われてしまったようだ。

遠足のおやつを買いに来た駄菓子屋もまだあった。当時は遠足のおやつは150円までと決まっていて、その制限の中で好きな駄菓子の組み合わせを考えるのがとても楽しかった記憶がある。数年前に来たときは、昔店にいたおばちゃんではなくおっちゃんが店番をしていたけど、今はどうされているのだろうか。

小学校までの通学路も、昔と変わらないままだった。当時はすごく長い通学路だと思っていたが、今見るとそんなこともなかった。通学路上にあった公園も、小学校の校舎も、昔は大きく見えたのに、今見るとそれほど大きくは見えなかった。僕の身体が昔より大人になったからなのか。

通った幼稚園や小学校も、そのままだった。当時の同級生とはまったく連絡をとっていない。小学校の5年、幼稚園からなら7年を一緒に過ごしたとはいえ、それももう18年前のことなので、さすがにみんな自分のことなど覚えていないと思う。当時携帯電話があったなら…と思ったりすることもあるが、自分が連絡不精なので、あってもなくても結局今と変わらないような気もする。みんな元気にしているのかな。

1時間弱の滞在だったが、これ以外にも色々と見て回れた。また帰ってきます。

2017年振り返り

2017年は人生のターニングポイントともいえる1年だった。慣れないことわからないことに奮闘し続けた年だった。

3月に博士後期課程を満期退学して、4月から現任校で働き始めた。学部から数えて9年を大学という場を過ごして、ようやくお金を納める側からもらう側に回ることになった。修士から博士まで足かけ5年在籍した名古屋大学を離れて(といっても近い場所ではあるのだが)、マンネリ打開のいいきっかけになる…はずだったのに、結局1年目の忙しさ、不慣れさにかまけて、研究活動らしい活動まではほとんど手が回らなかった。授業のことや事務のことなど、慣れるだけで精一杯だった。来年度は仕事にも慣れるだろうし(また量は増えるだろうけど)、コマ数も減ることになっているので、もっと効率的に仕事をしたいと思う。

研究面で個人的に一番大きかったのは、大修館書店の『英語教育』に寄稿させていただいたことだった(しかも2回も)。大学時代にこの雑誌を読んだことが大学教員を志すきっかけのひとつだったということもあり、この雑誌の記事を書かせてもらえたというのは、自分の中では特別なイベントであった。お声がけくださった皆様に感謝申し上げたい。自分がこの『英語教育』に寄稿するに値する研究者なのかどうかは甚だ自信がないが、自信を持てるようにこれからも精進していきたい。

仕事以外の面だと(というか仕事を含めても)、子どもが生まれたというのが今年の一番大きいイベントだったと思う。子どもはかわいい。けど赤ん坊の世話は経験したことがなかったので、慣れるまでしんどい思いをした。子どもの存在が仕事の励みになる一方で、家では仕事にならないので、仕事の仕方を変えようと試行錯誤した年だった。今でもなかなかうまくいかないが、個人的な信条として、仕事と家庭のどっちか一方だけというのはやりたくないので、頑張っていきたいと思う。とにかく子どもはかわいい。大事なことなので二回言いました。

あと春先に初めて車を買った。安い中古車だけど(しかも早速バンパー擦ってしまったけど)最初の車ということで愛情もひとしおである。小さい車なのでいつまで乗れるかわからないが、これからも大事に乗りたい。

来年もよろしくお願いいたします。

 

ThinkPad X1 Carbon(第3世代)のゴム足交換

先日、ThinkPad X1 Carbon(3rd Gen.)のゴム足が取れた(参考: ThinkPad X1 Carbon(第5世代)の感想)。そこでレノボのカスタマーサービスに連絡して、ゴム足を送ってほしいとお願いしたところ、保証内の範囲で対応してくれることになった。ただし、ゴム足だけ送るということはできず、ベースカバー(裏蓋)ごと交換になるという。PC本体を送りつけて先方で交換してもらうか、ベースカバーだけ送ってもらってこちらで交換するか、という選択肢を提示され、自分で交換を選んだというのが今週頭の話。

その後、いろいろと確認事項が書かれたメールが届いた。内容は、交換済みの部品を返送すること、その際梱包資材は送られてきたものをそのまま使うことなど、手続き上の注意点に加えて、シリアルナンバーの書かれたラベルを新しいベースカバーに貼り替えてください、とあった。

一昨日(連絡してから2日後)、ベースカバーが届いた。当たり前だが2年弱使ったものよりきれいである。早速取替作業を行う。ネジ穴が持っているドライバーと微妙にマッチしなかったが、なんとか締め上げ作業終了。あとはラベルを貼り替えるだけ…となったとき、ベースカバーと一緒にラベルがたくさん入った袋が同封されていることに気がついた。よくよく見てみると、製造地や基準適合マークが書いてあるラベルがいっぱい詰められていた。元々のラベルを移植すればいいやと思っていたので、横に放っておいて作業開始。

自分のものは日本の米沢工場で製造された、所謂米沢生産モデルというやつで、ラベルにもAssembled in Japanの表記とともに、Factory IDがYZ(米沢)と記されている。米沢モデルにこだわって購入した自分としてはこのラベルに思い入れがあるのだ。

そう思いながら作業を開始したのだが、なんとラベルを剥がすのに失敗してしまった。こだわりのラベルが見るも無残な姿に。つらい。こんなことなら剥がす前に写真をとっておくのだった。

それではせっかくなので新品ラベルを使わせてもらおうか・・・と思ったら、なんと自分のPCの製造地が表記されたラベルが入っていないではないか。添付されていたラベルは、Made in China表記の、Factory IDがKSのものばかりで、米沢ラベルは1枚も入っていなかった。

(ちなみに「KSってどこやねんks」と思いながら調べてみたが、この工場についての情報は見つからなかった。一体どこなんだろうか)

ということで、しかたなく応急処置として、日本語が書かれたKSラベルを貼っておいた。けどやっぱり悔しいので、レノボに米沢ラベルを送ってもらえないか交渉してみる予定。うーん。

そうそう肝心のゴム足は、今のところしっかりとくっついている模様。もう少し活躍してもらおう。


【追記】

サポセンに問い合わせてみたところ、米沢生産ラベルは保守部品として用意がなく、手配できないそう。とっても残念。米沢ラベルを貼り替えされる方は、破損しないようにご注意ください。

てかこんなガチガチにひっついたラベルを貼り替えるってのがそもそも無理ゲーだったよな…。