Surface Pro 7を授業で使ってみた感想

もう大晦日が終わって新年になってしまった。毎年恒例の一年の振り返り記事でも書くかと思ってサイトを開いたら、2021年にまだ一つもブログ記事を書いていなかったことに気づいた。振り返りの一つ前の記事がその前の振り返りというのはみっともない気がするので、書こうと思ってほったらかしていたネタでお茶を濁すことにする。

去年(2020年)にSurface Pro 7を入手した。これには3つの動機があった。まず、Windowsタブレットがタブレット端末としての完成度をみること、次に特にWindowsタブレットが授業用途で実用に耐えるのかどうかを試すこと、そして勤務校で導入されたMicrosoft Teamsとの相性を見極めることである。Windowsタブレット代表として、Surfaceをピックアップしたわけである。Surface Pro 8がすでに出たこのタイミングで今更という感じだが、それぞれの観点で感想をまとめてみる。

なお、以下はタブレット端末としてSurfaceを使った際の感想であり、ラップトップPCとして使った際の感想ではないことを予めお断りしておく。

Surface Pro 7はタブレット端末として完成されていたか

昨年度初頭までは、研究・授業のためのタブレット端末としてiPad Proを使ってきた。研究では、論文やPDF資料への書き込みといった用途で、授業では教科書への書き込みや、動画・音源の再生に加えて、オンライン授業・ハイブリッド授業でTeamsに接続するといった用途で、iPadを使ってきた。ただ、個人的な好みとしてメインで使用するデバイスをすべてWindows(あるいはAndroid)に揃えたかったので、タブレット端末もWindowsタブレットに置き換えできないかということを考えていた。

タッチ精度やSurface Pen、スタンドといったハードの面ではかなり頑張っているように思うが、やはりソフト由来の使いにくさが気になった。WindowsというOSが、タブレットに最適化されていないのが一番の問題点だと思う。タイプカバーをひっくり返したり外した状態で、指やSurface Penでウインドウを操作する、ファイルを開くといったOSの操作をするときに何かしらのストレスを感じることが多かった。もちろん、こういったストレスはタイプカバーを使ってラップトップ化したときに解消されるのだけど、それだとタブレットではないよな…っていう。

PDFへの書き込みも、Drawboard PDFやMetamoji Noteを使ってみたが、どれもiPad × Apple Pencil(× GoodNotes)の組み合わせほど完成されていない印象を受けた。iPadに優っていた点としては、ファイル操作の直感性くらいだろうか。

Surface Pro 7は授業用途で実用に耐えるか

では、授業で使ったときの使い勝手はどうか。ラップトップPCと同じことができるので、ディスプレイの設定(複製・拡張の切り替え)や、スピーカ・マイクの設定、ウインドウの配置といった設定を細かく調整することができるのはよかった。これらの機能が制限されるiPadでは、教室や授業によってこれらの設定を変える際に不便さを感じることもあった(自分がiPadを使いこなせていなかっただけかもしれないが)。

例えば、教科書を映しておいて、その上に動画・音源再生用の小さなプレーヤーソフトを常に前面で表示するといったことは、ほぼほぼラップトップPCのSurfaceだからこそできることだと思う(自分がiPadを以下略)。

教科書に書き込みをするという点では、たいていは遅延などの問題もなく書けているが、突然アプリがフリーズしたりクラッシュしたりといったことがあったので、そう言う意味では、iPad × GoodNotesほど安定して動かない印象である。

ちなみに、Surfaceの画面をプロジェクタに投影する際は、Windowsで使用できるMicrosoft謹製のワイヤレスディスプレイアダプタが便利である。かさばらないので、教室移動があっても気軽に持ち運びができる。タブレットを操作しながら机間巡視もできる。
(ただ、i7モデルだと、バッテリ持ちがよくないので、机間巡視を考えるなら、CPUはあまり欲張らない方がいいと思う。)

Surface Pro 7とMicrosoft Teamsとの相性はどうか

先述したように、SurfaceはほぼほぼラップトップPCなので、当然Teamsの機能がフルに使用できるので、そこに不満はない。画面上に一度に表示できる情報量(学生に提示するための情報量というより、教員が操作するためのメニュー表示などの情報量)もiPadよりSurfaceの方が大きいので、今ではTeamsでオンライン授業やハイブリッド授業を配信する用途では、もっぱらSurfaceを使っている。

不満は1点、Teamsの表示画面の拡大・縮小がピンチイン・ピンチアウトで行えないという点だ(これはiPadでもできない。けどもしかしたら自分がiPadを以下略)。授業の流れや課題の説明などをTeamsのチャネルに投稿するのだけど、それを学生に見せる際に、100%表示ではプロジェクター上で字が小さすぎて読めないので、拡大をしないといけない。そのとき、いちいちマウスをポチポチするか、キーボードのショートカットキーを叩かないといけないのはとてもストレスだった。タッチパネルをピンチイン・ピンチアウトするだけで拡大・縮小ができるようになってもらいたいと思う。

あと、それほど頻繁に使ったわけではないが、提出物にペンで書き込みをするといった、タブレットならではの機能は、思ったほど気持ちよくは動いてくれなかった。Apple Pencilを使う分、iPadの方が使い心地がよかったように感じた。

まとめ

タブレットとしてSurface Pro 7を使ってみた感想を総括すると、できることも多いけど、行き届かないところもあって、全体的に可もなく不可もなく、という印象。Surfaceの名誉のために補足しておくと、ラップトップPCとしては、キーボードとタッチパッドがショボいことを除けば、満足しています。

これ書いてて2021年の振り返りが間に合わなくなってしまった。これから書きます。。

時間に縛られるオンデマンド型のオンライン授業

こんな記事を見かけた。

学生は決められた時間にPCの前にいるのに、録画パワポが流れるだけで質問すらできないオンライン授業。
https://blogos.com/article/453630/

この記事によると、とある学生さんは授業時間にPCの前で座っていたのだけど、その間スライドを録画した動画がひたすら流れるだけで、発言や質問などのやりとりの機会もなかったそうだ。

この記事を読んだだけでは、これがZoomなどのビデオ会議システムの同時配信でひたすら録画が流れてたということなのか、事前に録画したスライド動画を観る時間が決められてたということなのか、どちらなのかはわからなかった。

前者は論外として(わざわざZoom等を使う必要がないという意味で)、事前に録画した動画を配信するのであれば、学生が好きなときに観ることのできるオンデマンド型の授業のほうが望ましい。しかし、そんなオンデマンド型の授業でも、教材や動画にアクセスする時間を本来の授業時間に制限するという考えもあるそうで。

せっかく時間や場所を選ばず学修できるオンデマンド型でやってるのなら、授業時間に縛られなくてもいいのに、と思う。対面授業じゃないんだから。学修時間が確保されてるなら、別に何時にやったっていいんじゃないですか。朝に弱い学生でも、遠方から通学する学生でも、みんな平等に遅刻・欠席の心配なくやれるというのは対面授業にはないメリットなんだから、そのメリット活かしたほうがいいんじゃないですか。

という朝に弱い教員の独り言でした。

(補足)この記事は、オンデマンド型の教材・課題の配信を授業時間に制限することについて述べたものです。ビデオ会議システムを用いたリアルタイム(同時双方向型)のオンライン授業を否定するものではありません。

「Rを用いた〇〇入門」ワークショップを担当するときの注意点

去年のFLEAT VIIでのワークショップは、時間(もとい時間のマネジメント)不足でだいぶ消化不良に終わってしまった。参加者の皆様には申し訳なく思っております。。

今回は、単なる“R”の入門講習ではなく“Rを用いた統計処理” の入門講習という依頼だったので、Rの入門だけで終わるわけにもいかずにいろいろ詰め込んでいたのだけど、それが裏目に出てしまった。

ほとぼりも冷めたと思うので、今後のために(これから先、そんな話は来ないかもしれないけど)、 純粋なR入門講習ではなく、Rを用いた〇〇入門講習という、時間に制約のあるワークショップを担当するときの、自分なりの注意点をまとめておきたい。

環境を統一する

今回は、会場PCだけでなく各自持参したPCも使用可能とした。その結果、Windows/Macネットに繋がっている/いないRStudioが入っている/いない会場PCを使用する/しないなど、参加者の環境が様々で、トラブルシューティングにかなり時間を食ってしまった。WSの時間は限られているので、そういった時間のロスは避けたい。したがって、参加者のPC環境を事前に、できるだけ統一しておくことが望ましい

一番楽な方法は、会場PCのR/RStudioを使うことだろう。 [efn_note] ただし、この方法では、WS終了後に各自のPCで会場PCと同じ環境を再現できない人が出る可能性がある。 [/efn_note] 環境が全員一緒なのでサポートもしやすいし、ネットワーク接続も確保されている。

持ち込みPCを使用する場合は、生RもしくはRStudioのどちらを使用するかを予め決めておく。個人的には、RStudio入門講習でないのであれば、生Rでいいのではないかと思う。RStudioの使い方を説明してるうちに、肝心の中身の時間が減ってしまうのは避けたい。

また、追加でパッケージのインストールを行うことになるので、ネットワークへの接続も前提としておく。 [efn_note] どうしてもネット環境が準備できない場合は、事前に参加者各自でインストールしておいてもらうという方法もあるが、R自体の入門者がいた場合には難しい。 [/efn_note] 会場の無線LANの情報を提示する、会場に無線LANがないなら各自での準備をお願いする、といった対策が必要だろう。

受講対象者を絞る

今回は、特に受講対象者は指定していなかった(と思う)。実際は、参加者のRスキルやPCスキルは様々で、これもWSの進行上悩ましい問題である。

今思えば、このツイートで先輩先生がおっしゃったとおり、受講対象者を絞るべきだったと思う。「変数への代入、データの読み込み、関数の読み込みなど、Rの基本的な操作ができる方」「Rは使っているが、〇〇パッケージを用いた〇〇はできない方」といった具合に、どういった層に向けてのWSなのかを明示する。そうすれば、ある程度は参加者の足並みを揃えることができたはずだ。さすがにPCスキルについて言及するのは野暮だと思うけど、もしかすると言ったほうがいいのかもしれない。

ハンズオン中心か、トーク中心かを決める

今回は、ハンズオンも入れつつトークも入れるという、半々の形であった。要するに、どっちつかずである。

先のツイートの先輩先生は、「話す内容を削ってハンズオンの時間を入れるといい」というアドバイスをされていたが、一方で別の先輩先生からは、「ハンズオンなしで全部トークにすればいい」というアドバイスもいただいた。

これはどちらも正しいと思う。つまり、どっちつかずではなく、どちらの形式を中心とするかを決めないといけないということだろう。まずはWSの目的に合った形式を選ぶ。もし技術の習得を目的とするならハンズオン中心とし、いちばん大事なハンズオンの時間をしっかり確保する。もし知識・考え方の習得を目的とするならトーク中心とし、ハンズオンはなし、もしくは必要最小限にしたほうがよい、ということだろう。

まとめると

以下のようなことを予め決めておいて、その上でアブストラクトに記載しておくとよい。

  • 使用PCやRStudioの有無など、環境を指定する
  • WSの対象となる層を具体的な条件で絞り込む
  • ハンズオン中心でいくか、トーク中心でいくかを決める

逆に言えば、受講する側はこれらを事前に確認しておけば、参加したけど期待はずれだった、みたいな事態を避けやすくなるのではないかと思う。

書き上げてから、これってRを用いた〇〇入門講習だけじゃなくて、R自体の入門講習にも同じことが言えるなって思った。まあいいや。


タブレットの画面を無線でミラーリングする(安上がりな)方法

先日、学内の研究授業で、教員(私)がPCの操作中教卓から動けなくなってしまっているので、タブレットを使うなどして教卓にかじりつきにならないよう工夫した方がいいというご助言をいただいた。そこで授業用にiPad Pro(11-inch)を(自腹で)購入した。机間巡視・支援をしながら、タブレットの画面や書き込みを、無線でミラーリングできたらいいな、と思ったのだ。

調べてみると、どうもAppleにはAirPlayという無線規格があって、それに対応したデバイス(Apple TVなど)を使えば無線で画面がミラーリングできるらしい。しかし、自分は今回買ったiPad以外にApple製品は持っていないし、今後買う予定もないので、わざわざApple TVを買うのはもったいないと思ってしまう。なんとかならないかと思って考えたり調べたりした結果、iPadなどのタブレット端末の画面を他のPCに共有して、その画面を投影するという方法に至ったので、ここにメモしておく(ポンチ絵はイメージ)。

準備したもの

  • PC
  • タブレット(今回はiPadを使ったけど、それ以外のタブレットでもOK)
  • プロジェクタとスクリーン、もしくはセンターモニタ
  • PCとプロジェクタ・センターモニタを接続するためのケーブル
  • Zoom(オンラインミーティングアプリ)
    • Zoomはオンラインでミーティングを行うためのサービスで、どうもSkypeよりもいろんな面で高機能らしい。今回はこのZoomアプリを画面共有のために使用する。
    • ちなみに、Skypeも画面共有ができるので、今回の記事と同様のことができるけど、そのためにアカウントを2つ取得しないといけないので、ちょっとめんどくさい。
    • TeamViewerというソフトでも同様のことができるけど(参考)、試したところ毎回動作したりしなかったりだったのと、iOS版アプリの評価がイマイチだったので、今回は使用を見送った。
  • PC用の有線/無線LAN環境
  • タブレット用の無線LAN環境
    • これらは同じネットワークである必要はない

手順

  1. まずはZoomアカウントを作成する。確かGoogleアカウントも使用可能だったはず。
  2. 次に、PCとタブレットにZoomをインストールし、アカウントにログインする。このあたりの手順はWeb上にたくさん情報があるので、詳細は割愛。
  3. ログインが済んだら、PCとタブレットで、個人(パーソナル)ミーティングスペースに入る。
    • Zoomはミーティング毎にIDが振られるのだけど、IDは基本使い捨てらしいので、毎回片方のデバイスでミーティングを立てて、もう片方のデバイスでIDを入力してミーティングに入らないといけない。それでは手間なので、 画面共有のみに使う場合は、恒久的に使える個人ミーティングスペースID(PMI)を使ってミーティングを始めたほうが、 操作が少なく済んで楽。
    • さらに操作を楽にするには、インスタントミーティング(ホーム画面の「新規ミーティング」を押して始まるミーティング)に、常にPMIを使用するよう設定する(参考)。そうすれば、アプリを開いて、ボタン一つで個人ミーティングスペースに入ることができる。
  4. 個人ミーティングスペースに入ったら、共有したい画面のデバイス(今回はタブレット)の上部にある、「共有」をタップし、一番上の「画面」をタップする。すると、もう片方のデバイス(今回はPC)に、タブレットの画面が表示される。

この方法のメリット

  • 教卓・ケーブルから自由になれる
    • これで教卓やAVボックスにかじりつき問題は解決される(はず)。あとは自分の腕次第。
  • PC・タブレット画面を同時に映すことができる
    • PC上のウインドウの一つにタブレットの画面が表示されるので、半分はタブレット画面、半分はずっと提示しておきたい資料を映す、といった柔軟な使い方ができる。
  • すべてのデバイスで同じネットワークに接続する必要がない。
    • 例えばFire TVなどの画面ミラーリングは同じネットワークに接続する必要があるが、意図せずして他のネットワークを拾ったりする(勤務校では無線LANに複数のSSIDがあって、たまに何かのはずみで切り替わっている)と、接続が切れてしまう。だけどこの方法ではZoomのサーバーを通して接続しているので、どのネットワークを拾っても接続は維持される(はず)。
    • ただし大学によっては、このようなアプリでの通信が制限されているかもしれないので注意。
  • お金がかからない。
    • Zoomは今のところ無料版でも十分な機能・性能があるので、PCさえ持っていれば、追加の費用はかからない。ただし、いつまで無料で使えるかは未知数。

この方法のデメリット

  • (特に接続直後)タイムラグがある。
    • 外部のネットワークを経由しているので、どうしても直接接続するよりも反応が遅い。
    • Web上では、Skypeよりも安定している、とった口コミも見かけたけど、実際のところ比べてどうなのかは、こちらでは未検証なのでわからない。
    • ただ、印象としては、接続後しばらくすると、かなり安定して動作するようになった(気がする)。
  • PCを持ち込まないといけない。
    • 自分はPCも毎回持参するつもりなので特に問題ないが、持っていくのはPCかタブレットどちらかにしたいという人には向かない方法だと思う。

おわりに

とりあえず今学期から試してみて、何かあったらここに追記したいと思います。

(続)Rで学生・生徒を指定した人数のグループに分ける関数

先日のNagoya.R #18で、以下の記事のグループ分け関数についてお話させてもらった。

Rで学生・生徒を指定した人数のグループに分ける関数

この関数について吉野睦さんから、もっと簡単に同じことができることを教えていただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。ご提供いただいたコードを許可をいただいた上で以下に転載させていただきます。

rm(list=ls())

# エクセル名簿から貼り付けるとこんな感じ(改行だけ)

x <- c("
川口勇作
川口勇作
川口勇作
川口勇作
川口勇作
川口勇作
")
# こんな感じに縦に並んでいるものを貼り付ける

# 改行コードで分割する
x <- strsplit(x,"\n")[[1]]           # なぜかリスト形式になってしまうので[[1]]
x <- x[!nchar(x)==0]                 # 空文字列を取り除く

# ここからがメインルーチン
class <- 10
index <- rep(1:class,len=length(x))  # クラス番号生成
index <- sample(index)               # クラス番号をシャッフルする
x <- split(x,index)                  # クラス分けする
print(x,quote=FALSE)                 # 名前のダブルコーテーションを取って表示

流れとしては以下のとおり。

エクセルから、ダブルコーテーションなし、カンマなし、改行のみで貼り付けたことを想定し、

strsplit()関数で名前データ生成

あとはメインルーチンで、

クラス数を指定
rep()関数でクラス番号を生成
sample()関数でシャッフル
split()関数でクラス分け
print()関数で、ダブルコーテーションなし表示

自分はfor文の中でfor文を回すという効率の悪いやり方をしていた。以前Python Bootcampに参加したときにも感じたことだが、今の自分にはこういう効率の良いコードを書く能力が欠けているようだ。フィードバックをいただける環境に感謝。


【追記 2018/9/2】吉野さんから以下のような追加情報をいただきました。ありがとうございました。

最後の、

print(x,quote=FALSE)

を、次のように変更して頂くと、リスト形式がデータフレームに変更できます。

y <- lapply(x,function(z){c(z,rep("",max(sapply(x,length))-length(z)))})
xx <- do.call(cbind,y)
print(xx,quote=FALSE)

参加予定ですか ?(必須)



Rで学生・生徒を指定した人数のグループに分ける関数

【追記 2018/5/13】コードをWordpressに貼り付けたときに一部の文字(””)が違う文字として貼り付けられてしまっていることに気づきました。現状では、そのまま貼り付けただけではエラーになりますので、ご注意ください。 -> 解決しました。

【追記 2018/5/29】特定の人数でエラーを吐くバグを修正しました。バグをご指摘くださった田村さんありがとうございました。

【追記 2018/5/31】出力の”member”が”menber”になってました。どれだけ麺好きなんだ。ということで修正しました。

【追記 2018/8/24】この関数について、Nagoya.Rでもっと簡単に同じことができるというコメントをいただきました。詳しくはこちら


表題の件について。前々から作ろうと思っていたけど、近いうちにNagoya.Rをやることになりそうなので、話の種に作ってみた。

以下をRのコンソールに貼り付ける。

Windowsの方はこちら

groupfunc <- function(p){
	d <- as.vector(read.table("clipboard", header = F, sep = ",")[,1])
 
	#学生数
	n <- length(d)
 
	#余りの人数
	r <- n%%p
 
	#空の行列を作成
	if(1 <= r){
		tb <- matrix(, nrow = trunc(n/p), ncol = (p+1)) #余りが1以上であれば、余分に1列を追加
	}else{
		tb <- matrix(, nrow = trunc(n/p), ncol = p)
	}
 
	#余った学生がいなくなるまで1人多くサンプリング
	for(i in 1:trunc(n/p)){
		if(i <= r){
			for(j in 1:(p+1)){
				tb[i,j] <- sample(d, 1)
				d <- d[-which(d %in% tb[i,j])]
			}
		}else{
			for(j in 1:p){
				tb[i,j] <- sample(d, 1)
				d <- d[-which(d %in% tb[i,j])]
			}
		}
	}
	result <- as.data.frame(tb) 
 
	#空行の削除(参考:http://id.fnshr.info/2017/08/14/r-blank-row-col/)
	#	is_blank の定義
	is_blank <- function(x) {is.na(x) | x == ""}
 
	# すべてが空欄である行を探す
	unnecessary_row <- apply(result, 1,
													 function(x){
														 all(is_blank(x))
													 })
 
	# 「すべてが空欄である行」以外を残す(=空行の除去)
	result <- result[!unnecessary_row,]
 
	#見出し行に名前を付与
	namae <- "member.1"
	for(k in 2:ncol(result)){
		namae <- append(namae, paste("member.", k))
	}
	colnames(result) <- namae
	result
}

【追記 2018/5/13】Macの方はこちらを。Macでは動かないことをご指摘くださった田村さんありがとうございました!

groupfunc <- function(p){
	d <- as.vector(read.table(pipe("pbpaste"), header = F, sep = ",")[,1])
 
	#学生数
	n <- length(d)
 
	#余りの人数
	r <- n%%p
 
	#空の行列を作成
	if(1 <= r){
		tb <- matrix(, nrow = trunc(n/p), ncol = (p+1)) #余りが1以上であれば、余分に1列を追加
	}else{
		tb <- matrix(, nrow = trunc(n/p), ncol = p)
	}
 
	#余った学生がいなくなるまで1人多くサンプリング
	for(i in 1:trunc(n/p)){
		if(i <= r){
			for(j in 1:(p+1)){
				tb[i,j] <- sample(d, 1)
				d <- d[-which(d %in% tb[i,j])]
			}
		}else{
			for(j in 1:p){
				tb[i,j] <- sample(d, 1)
				d <- d[-which(d %in% tb[i,j])]
			}
		}
	}
	result <- as.data.frame(tb) 
 
	#空行の削除(参考:http://id.fnshr.info/2017/08/14/r-blank-row-col/)
	#	is_blank の定義
	is_blank <- function(x) {is.na(x) | x == ""}
 
	# すべてが空欄である行を探す
	unnecessary_row <- apply(result, 1,
													 function(x){
														 all(is_blank(x))
													 })
 
	# 「すべてが空欄である行」以外を残す(=空行の除去)
	result <- result[!unnecessary_row,]
 
	#見出し行に名前を付与
	namae <- "member.1"
	for(k in 2:ncol(result)){
		namae <- append(namae, paste("member.", k))
	}
	colnames(result) <- namae
	result
}

( )の中の引数でグループ毎の人数を指定する。2人グループ(要するにペア)なら2を、3人グループなら3を入れる、といった感じで。

空行の削除は、以下の記事を参考とさせていただきました。

Rで空行・空列を除去する方法

人数がグループ数で割り切れない場合、余った人を各グループに1人ずつ割り当てるような仕様となっている。例えば30人で4人グループを作る場合、4人グループが5組と、5人グループが2組できる。これは自分が授業内で即興でグループを作るときのアルゴリズムに則っている。「いや自分なら4人グループ7組と2人ペア1組にする」という先生がいましたら、この関数はそういうのには対応していませんごめんなさい。

この仕様のせいで、思ったようなグループの人数にならないときがある。例えば40人で7人グループを作るとき、余った5人をできたグループに割り当てていくと、すべてのグループが8人になってしまう。これは余りの人数などで例外処理をしていけばいいのだろうけど、しんどいので今回は割愛。そもそも7人グループとか作ることなんて滅多にないと思う。

これをShinyアプリにするのが本当のねらいなのだけど、それはまた時間のあるときに。

LET2016の公募シンポジウム

LET全国大会の公募シンポジウムで登壇した際のスライドを諸事情で公開していなかったのですが、今になって公開しました。


私は二番手で登壇して、外国語教育研究において、質問紙や尺度を、作成・翻訳・使用する際の注意点のようなものについてお話させていただきました。基本的には、以下の参考文献など、いろんなところで示されているいろんなお作法についてまとめさせていただき、それらに触れた上でちょこちょこと自分の考えを散りばめたものです。

稲田尚子 (2015).「尺度翻訳に関する基本指針」 『行動療法研究』41, 117–125.

前田啓朗 (2000).「構成概念の妥当性の検証―日本の英語教育学研究における傾向と展望」『外国語教育評価学会研究紀要』3, 119–126.

前田啓朗・大和知史 (2000). 「構造方程式モデリングによる高校生の言語学習方略使用と言語学習達成の分析:SILL で得られたデータのより適切な分析と結果の提示方法の提案」Language Laboratory, 37, 143–162.

Mokkink, L. B., Terwee, C. B., Patrick, D. L., Alonso, J., Stratford, P. W., Knol, D. L., Bouter, L. M., & de Vet, H. CW. (2012). COSMIN checklist manual.

土屋政雄 (2015).「尺度研究の必須事項」『行動療法研究』41, 107–116.

ただ尺度の作成方法についても、流派というかいろんな考え方があると思いますし、このスライドで紹介したCOSMINチェックリストにしても、そもそも他分野を対象としているチェックリストなので、これに基づいてさえいれば何でもよいということでもないと思います。あと妥当性についても、Borsboomのような過激な主張の人もいたりして、人生いろいろ、妥当性観もいろいろということで、とにかくいろいろあります。それこそ確定基準(gold standard)なんてものはないので、あとは目的に応じて取捨選択してくださいということです。まあそれをいい塩梅にやるのがとっても難しいわけですが、知っているのと知っていないのでは、後者のほうがよいだろうということで。

勉強すれば色々出てくるもので、自分も昔作った尺度を今からもう一度作り直したくて仕方ないくらいですが、少しでも良い物差しが作れるよう研鑽を積んでいきたいと思いました。

2016年度が半分終わったところで中間振り返り

いつも年度末に振り返りをしているけど、それだけだと1年に1回しか改善の機会がないので、年度も半分を過ぎたところで、一度振り返りをやっておこうと思う。

前期の研究成果は、論文(査読無し)1本と、自分が1stでしゃべった口頭発表・シンポジウム発表が2本。もう少しやれたのではないかと反省。あとは1st以外の共同研究が2本。

発表は、時間をきっちり守ることだけが取り柄だったのに、無駄なおしゃべりと練習不足のせいで、発表時間が守れなくなってきた。
まあしゃべる中身がなくて、無理やりゆっくり話していた昔と比べたらマシだろうか。今後はしっかり練習して臨みたい。

博士論文はなかなか進まなかったが、ただまあ、半期サボったおかげで色々思考がまとまってきた。とか言って進捗がないことを正当化してみる。
ゼミや研究会では、まとまりのない計画の一端を発表させていただいた。建設的な意見をたくさんいただいたので、ぜひ取り入れていきたい。
みなさん、ありがとうございました。

投稿論文の方も、なかなか書き進められず歯痒い思いをした。
5月に某報告論集から急遽投稿要請があったので、英語で書きかけて放置していた論文1本を日本語に直して投稿した。
遅筆でご迷惑をおかけしすみませんでした。グズグズしてるからこうなる。

いつまでもグズグズしていてはダメなので、今年度は10月〆切のジャーナルに初挑戦する予定。あと11月〆切のジャーナルの投稿申し込みもした。
どちらも英語で書く予定なので、どんどん前倒しでやっていく。

非常勤は5コマやりきった。今期からいろいろと新しい試みをやってみた。
教員としてはまあまあの手応えだったが、学生さんからしてみるとどうなんだろう。正直な意見が聞きたいところ。
その新しい試みのせいで授業準備に時間が割かれて研究ががが…というのはみっともない言い訳。こういうことは金輪際言わないようにしようね。

研究部会の運営は、あんまり仕事がなかったのでよかった。と言いつつも、ちゃっかりイベントを1本開催させてもらった。
遠路はるばるお話に来てくださった先輩には感謝しきりです。本当にありがとうございました。
あとNagoya.Rもやれた。次は11月開催なので、また徐々に準備しないといけない。

読書会や研究会は、プライベートの方でいろいろあったりして、休みがちになってしまった。せっかく誘っていただいたのにすみません。
といってもプライベートを殺すわけにもいかず、できる限りということで、ご容赦ください。
そうそう、プライベートといえば、西と東にいる先輩がたのところに一度ずつ遊びに行かせていただいた。
大変お世話になりました。また僕がどこかに引っ越したら、遊びに来てください。

最後に、これはパーソナリティの話だけど、優柔不断、決断先延ばし、言うべきことをはっきり言わない、この3つは意識して直していきたい。
これのせいで多方面に多大なご迷惑をおかけしてしまった。申し訳ございませんでした。

ということで、後期からも、体を壊さない程度に馬車馬のように(共起しない?)働きたいと思います。

JASELE2016

獨協大学にて開催された第42回全国英語教育学会埼玉研究大会(JASELE)にて 「エッセイライティング中のライティング方略とポーズ」という発表をしてきました。スライドと配布資料、予稿をここで公開します。

配布資料

予稿


いろいろとご指摘いただければ嬉しいです。

授業の振り返りシート

先日、非常勤先のFD研修会にある高名な先生がいらっしゃるとのことで参加させていただいた。

その中に「大福帳」についてのお話があった。

大福帳については以下に詳しい。

https://kogolab.wordpress.com/授業のデザイン/大福帳/すべての授業で大福帳を使おう/

https://kogolab.wordpress.com/授業のデザイン/大福帳/大福帳テンプレート/

前任者である先輩から授業を引き継いだときに、「こういうの使うといいぞ」と教えていただいて、「振り返りシート」という名前で以下のようなものをA4サイズに印刷して使っていたのだが、これも大福帳の一つの形だろう。

振り返りシート-001

ただ、授業を1年やった中で、感想に「おなかすいた」とか「ねむかった」とかそういうのばかり書いてくる学生さんをたくさん見てきたので、「感想を書け」とだけ言われても何を書いたらいいのかわからないというのもあるのかなあとか、どうせ書くなら、ポートフォリオみたいな、そういう後になって学びを振り返れるようなものがいいかなあとか、いろいろ考えた。

それで、今年度の後期からはこういう感じにマイナーチェンジしたものを、A3サイズに印刷して使っていた(実際に使っていたものとは少し異なるが、理由は後述)。

振り返りシート_20160302

振り返りシート_20160302(PDF)

項目は小テストの得点のほか、「できたこと/わかったこと」、「できなかったこと/わからなかったこと」、「感想」となっている。

実は後期に実際に使っていたものは、「できたこと」・「できなかったこと」という項目になっていた。「わかったこと」・「わからなかったこと」という記述は、後期が終了した後に追加した。これは、他の人の発表を聞くような回では、できたことを書けと言われても「人の話をちゃんと聞けた」くらいのことしかなくて、何を書いたらいいのかわからないという苦情があったからだ。

「授業内の質問」というのは、「今おなかすいていますか?」みたいな質問ではなくて、授業内容に関わるような質問のこと。以下のページの「発問即テスト法」を見て「いいな」と思って取り入れてみた。

https://sites.google.com/site/zukeshomepage/publications/practical-papers/030-wakaru

このシートをしっかり書きさえすれば、出席回数、小テストの得点から、自分がどのような内容を学んできたのかまで一目瞭然、とは言いすぎだが、少なくとも授業の中でやってきたことは把握しやすいのではないかと思っている。
少なくとも、成績評価の際に出席回数の確認はすぐできるし、小テストがどの程度の出来なのか一目で把握できたりと(さすがにここに書かれた得点をそのまま評価の際に使うのは躊躇するが)、教員側にとってもなかなか便利ではある。

 


そういえば、研修会の中で、eラーニング教材向けの動画作成ソフトの話があって(むしろこちらが本筋)、いろいろと使えそうで非常に興味深いお話だったのだけど、それについてはまた後日。