順位相関係数の信頼区間の算出

何度もやってるのにどうも覚えられないのでここにまとめてメモ書き。

自分の研究は、質問紙などの順序尺度データだったり、正規性のないデータだったりを使うことが多いので、相関分析をする場合には必然的にピアソンの積率相関係数ではなく、順位相関係数を使うことが多い。

基本的にはスピアマンを使っているが、ケンドールが報告されているのをあまり見かけないのでいつかドヤ顔で使ってみたいという厨二心もある。

順位相関係数を出すだけならすぐにできる。Rだとこう(ダジャレではない)。

> cor(dat, method=”spearman”) #スピアマン

> cor(dat, method=”kendall”) #ケンドール

無相関検定とか信頼区間の算出をする場合はcor.test関数を使う(引数が2つ必要なことに注意)。

> cor.test(dat[,1],dat[,2],method=”spearman”)

Spearman’s rank correlation rho

data: dat[, 1] and dat[, 2]
S = 459.55, p-value = 0.001742
alternative hypothesis: true rho is not equal to 0
sample estimates:
rho
0.6544704

警告メッセージ:
cor.test.default(dat[, 1], dat[, 2], method = “spearman”) で:
タイのため正確な p 値を計算することができ

はいでてきt、あ、あれ?

調べてみるとcor.test関数では、ピアソンの積率相関の場合のみにしか信頼区間を出してくれないらしい。

http://www.inside-r.org/r-doc/stats/cor.test

次はこれを試してみた。corrgramパッケージのcorrgram関数。信頼区間が一気出しできるpanel.confオプションが便利。

https://cran.r-project.org/web/packages/corrgram/corrgram.pdf

だがここにも落とし穴。

結局は中でcor.testが動いているので、順位相関では信頼区間が出せないいうことだそうだ。

はてさて、困った。


【解決策1】

langtestを使う。スピアマンでもケンドールでも使える。一番簡単かつ手っ取り早い。

http://langtest.jp/shiny/cor/

【解決策2】

スピアマンの場合、DescToolsパッケージのSpearmanRho関数を使う。

https://cran.r-project.org/web/packages/DescTools/DescTools.pdf

1,2番目の引数には変数、3番めの引数では

> library(DescTools)
> SpearmanRho(dat[,1],dat[,2],conf.level=0.95)
rho lwr.ci ups.ci
0.6544704 0.2983596 0.8506335

この結果はlangtestの結果と一致する。

【解決策3】

これもスピアマンの場合。RVAideMemoireパッケージのspearman.ci関数を使う。

https://cran.r-project.org/web/packages/RVAideMemoire/RVAideMemoire.pdf

これは上の2つとは違い、スピアマン順位相関のブートストラップ信頼区間を出してくれる。

> library(RVAideMemoire)
*** Package RVAideMemoire v 0.9-52 ***

> spearman.ci(dat[,1], dat[,2], nrep=1000, conf.level=0.95)

Spearman’s rank correlation

data: dat[, 1] and dat[, 2]
1000 replicates

95 percent confidence interval:
0.2263722 0.9238737
sample estimates:
rho
0.6544704

【解決策4】

これはケンドールの場合のみ。NSM3パッケージのkendall.ci関数を使う。

https://cran.r-project.org/web/packages/NSM3/NSM3.pdf

どうもこの本の計算方法に基づいて信頼区間を算出するようだ。

> kendall.ci(dat[,1], dat[,2], alpha=0.05, bootstrap=F) #漸近解析を使う場合

1 – alpha = 0.95 two-sided CI for tau:
0.187, 0.867

> kendall.ci(dat[,1], dat[,2], alpha=0.05, bootstrap=T, B=1000) #ブートストラップを使う場合

1 – alpha = 0.95 two-sided CI for tau:
0.109, 0.838

ブートストラップを使用する場合は、Bの部分で抽出回数を指定する。

 

いろいろ種類があって、どれを使うのがいいかはよくわからないし、もう全部langtestでOKじゃなかろうかと思ったりもするが、手数は多いに越したことはないだろう。

【追記1】2016.03.13

このようなご指摘があったのでここで紹介させていただきます。

 

【追記2】2016.03.27

Nagoya.R #15にて、このブログの内容について発表しました。以下は発表スライドです。

【追記3】2016.03.27

スピアマンの順位相関係数の信頼区間について、以下のページをご紹介いただきました。

スピアマンの順位相関係数の信頼区間 – 裏 RjpWiki

cor.test関数とrank関数の組み合わせで算出した信頼区間と、ブートストラップで算出した信頼区間との間には大きな差はないようだ。

2014年夏の学会発表

この夏に開催される関連学会にて筆頭発表者としていくつか発表をさせていただくことになっているので,ここにまとめていきたいと思います。あと筆頭発表者ではないものもまとめさせていただいてます。

(スライドの内容は発表直前まで改変される場合があります)


まず 8月4日から6日まで福岡大学にて開催される外国語教育メディア学会(LET) 第54回 全国研究大会にて発表させていただきます(私の発表は2日目です)。

タイトルは「新しいコンピュータ支援語学学習態度尺度作成の試み:英語を学習する大学生を対象として」です。草薙邦広さん(名古屋大学大学院)との共同研究です。「コンピュータ支援語学学習態度尺度」という尺度を作成して,その妥当性,信頼性を検証するという内容です。

発表スライドはこちらです。


 

なお,同日に(というより発表の直後に)石井雄隆さん(早稲田大学大学院),石井卓巳さん(筑波大学大学院),草薙さん,阿部大輔さん,福田純也さん(いずれも名古屋大学大学院)との公募シンポジウムにも登壇します。「ライティング・プロダクトからライティング・プロセスへ―Writing MaetriX Corpus Project―」というタイトルです。ライティングプロセス記録・分析ソフト「WritingMaetriX」を用いて記録したデータで大規模なライティングプロセスコーパスを作成しようという試みについての内容です。


LETが終わった後は,名古屋に戻らずそのまま移動して8月9日,10日に徳島大学にて開催される全国英語教育学会 (JASELE)第40回徳島研究大会にて発表させていただきます(発表はこれまた2日目です。)。

こちらは「エッセイライティングにおける増加語数の時系列推移傾向はエッセイ評価を予測するか―線形回帰モデルおよびポアソン分布へのフィッティングを用いて―」というやたら長いタイトルのものです。こちらは室田大介さん,後藤亜希さん(いずれも名古屋大学大学院)との共同研究です。記録したライティングプロセスを線形回帰モデル(最初から最後まで一貫して語数が伸び続けるライティングプロセス)とポアソン分布(望ましいとされるライティングプロセスに形が似ている)にあてはめてみて,それぞれへの当てはまりのよさがエッセイの評定と相関するかを見た研究です。

発表スライドはこちらです。


 

同じ2日目には,草薙さんをはじめとした名古屋大学チームの共同研究発表「外国語における文法的慎重性尺度の開発」もあります。こちらは,「文法的慎重性」という学習者固有の要因を測定する質問紙の作成を行い,その妥当性や信頼性を検証したものです。


関心のある方はぜひお越しください。ご指導・ご助言をよろしくお願いします。

LET中部秋で発表してきました

お久しぶりです。

この間LET中部での発表が終わりましたのでそのご報告です。

反応時間データにおける語彙特性効果から見る語彙の即時的運用能力:語長・頻度・親密度・心像性に着目した予備的検討

発表スライドはこちらです。


 
配布資料はこちらで公開しています。

https://sites.google.com/site/kwsk3939/home/closet

なぜかSlideShareをWordpressに貼り付けると大きいサイズになってしまうんだけどなんでだろう。まあいいか・・

 

質疑ではたくさんのご質問・ご助言をいただいてありがたかったです。発表にお越しいただいた皆様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。

先輩にもたくさん助けていただきました。早く独り立ちできるようにがんばります。

発表する度に自分の勉強不足を痛感して嫌になってきますが,これからもめげずにやっていきたいと思います。

 

今年の発表も残すところあと一つ。

12月7日のNagoya.Rでの入門者講習です。

http://atnd.org/events/43634

R入門者が講師の入門者講習という斬新な企画・・

ぜひお越しください。

2013年度秋,学会・研究会

寒くなってきました,もう完全に秋ですね。

ということで学会・研究会の情報を。

10月26日 メソドロジー研究部会 in 秋田(秋田県)

メソ研には初めての参加になるのでワクワクしています。

東北に行くのも初めてなので,そちらも楽しみです。台風が心配ですが。

 

次にこちら。いつもお世話になっている学会です。11月9日開催。

第82回LET中部支部秋季研究大会

こちらで草薙邦広さんとの共同研究の発表をさせていただきます。タイトルは「反応時間データにおける語彙特性効果から見る語彙の即時的運用能力:語長・頻度・親密度・心像性に着目した予備的検討」です。よろしければ見にいらしてください。

中部支部Wiki : 反応時間データにおける語彙特性効果から見る語彙の即時的運用能力:語長・頻度・親密度・心像性に着目した予備的検討 [反応時間データにおける語彙特性効果から見る語彙の即時的運用能力] – LET Chubu

発表が近づくたびにナーバスになるのですが,一方でいろんな方にお話を伺うことができるのが楽しみでもあります。

 

次の週には久しぶりに和歌山へ行こうと思います。和大に行くのは半年ぶりくらいかな。

2013年度第4回和歌山英語教育研究会

しっかり勉強させていただこうと思います。

 

修論やれよという声が聞こえてきそうです…おっしゃるとおりです,やります。

「名大がElsevierとの契約廃止を検討」というニュースについて

少し古いニュースですが。

名大関係でびっくりしたニュース。

名大でElsevier社刊行学術誌の包括契約廃止が検討される | スラッシュドット・ジャパン

elsevier shock | 雪氷圏研究室

奥の間: エルゼビア社 知的財産の問題

大学もお金がなくなってきたら,こういうところから削っていくんだろうなあ。

 

でも本当に廃止になっちゃったらどうなるんだ?

「必要な人が個別に購入する」って?

いくらくらいかかるんだ?

 

例えばこのジャーナル(好き)。

System | ISSN 0346251X

これだと印刷版で約1万5千円,5ユーザーで4年分までアクセスできるeJournal版で約4万円らしい。

この一冊で事足りるなら払えばいいんだろうけど,一冊で済むわけはない。

よし,じゃあ何冊も購入しよう!となると…

 

…うん,きつい。

研究費のない院生にとっては苦しい。

けして安くない授業料払ってるんだから,なんとかなってほしいけど。

SLA・英語教育情報botの引き継ぎ

こんばんは。

Twitter上にSLA・英語教育情報botというbot(自動投稿サービス)があります。

slaeltbot

SLA(第二言語習得)や語学教育(主に英語教育)についての論文や入門書などの文献情報、関連する学会や学術誌の情報を紹介しているものです。

名古屋大学大学院の草薙邦広さんが立ち上げ・運営に尽力されていました。

この度私,表題の通り,その「SLA・英語教育情報bot」の運営を引き継ぐことになりました。

「なんでお前が」とか「もっと適任がいるだろ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

そりゃそうかもしれませんね,けどもう引き継いちゃったんだからどうにもなりません。

で,このブログをホームページにという,ありがたいお申し出もあったのですが,こんなブログをホームページにするのは心苦しかったので別にホームページを立ち上げました。こちらです↓

https://sites.google.com/site/slaeltbot/

フォロワー数が自分の数倍もあるアカウントでつぶやくのは結構こわいので,私が中の人としてつぶやく機会はそれほど多くないと思います。すみません。

とりあえず当面は「普通のことを普通にこなす」ことを目標に頑張ります。

非力ではありますが,自分にできることは貪欲にやっていきたいと思っています。

皆様の温かいご支援をお願いいたします。

CELES2013で発表します

第43回中部地区英語教育学会富山大会で発表させていただきます。

「eラーニング教材を活用した語彙学習方略がライティングに与える影響」

発表スライドはこちらから閲覧・ダウンロードできます。


単独発表は初めてなのでとても緊張しています。

ご指導をよろしくお願いいたします。

「WritingMaetriX Ver.1.0」リリース

ご無沙汰してました。

5月25日のLET中部の発表が終わりました。

草薙邦広・阿部大輔・福田純也・川口勇作 (2013) 「キー入力記録システムを援用したライティングプロセスの可視化:自律学習を促すフィードバック環境構築に向けて」第81回外国語教育メディア学会中部支部春季研究大会. 東海学園大学

この研究で開発したライティングプロセス分析ソフト「WritingMaetriX」のVer.1.0が公式サイトにて公開されています。

所属大学のある名古屋にあやかって「らいてぃんぐ・みゃーとりっくす」と読みます。

このソフトでは,普段は見ることのできないライティングを行っているときの語数の増え方や推敲回数の変化をグラフにして見ることができます。

ライティングのプロセスを動画みたいに再生することもできるスグレモノです。

是非ダウンロードしてお使いください。

公式サイトはこちらから → WritingMætriX
デモ動画もあります。
[youtube http://www.youtube.com/watch?v=QhLsW9vHXsk&w=350&h=263]
なお,今回の発表資料は第一発表者の草薙さんのサイトにアップされています。

理論的な背景等はそちらをご覧ください。

使用してみての感想などありましたらぜひこちらまでお寄せください。