在外研究中のシドニーでの住居探し

現在、在外研究でオーストラリアのシドニーにいます。2023年4月から2024年3月までの一年間滞在しますが、5月に家族が到着してからもなんやかんやバタバタしていて、気づけばもう半分が過ぎたことに気づいてゾッとしてます。

着いてすぐに住まい探しに取りかかりましたが、アパートの契約までこぎつけるまで1ヶ月弱かかりました。ブログをまとめるのも遅いくらいだから、どうせグズグズやってたんだろうと思った方もいるかもしれませんが、いろいろ事情があったんです(言い訳)。ということで、シドニーでの住まい探し事情についてまとめておきたいと思います。

住宅事情

オーストラリアの金利が上がって住宅ローンを借りれない人が賃貸に流れている、あるいはコロナの影響で賃貸物件の建設が進まなかった、といったことで、賃貸物件の需要が上がっているようです。その結果、家賃が昔より上がったり、私のようになかなか物件を借りることができない人が出てきたり、といった問題が起こっているそうです。現地のメディアでも “Rental Crisis”とか “Housing Crisis”とかいってしょっちゅう取り上げられてます。

こんな状況なので、rent(家賃)はべらぼうに高いです(もともと高いみたいですが)。日本にいる間にも、同僚の先生や現地の方から、最低でも$500(週当たり…)は要るよと聞いてました。日本だと東京23区内の駅徒歩圏内に住めそうな値段(東京に住んだことないのでイメージで言ってます、違ってたらすみません)ですが、実際に$500前後の物件へ内見に行ってみると、うーんという感じの物件(古い、汚い、臭い、暗い)が多かったので、少し予算を上げて探しました。

家探し~内見

不動産屋さんに行って物件を紹介してもらうこともできると思うのですが、最近はほとんどの人は以下のようなサイトで探しているようです。私もそうしました。

https://www.realestate.com.au/
https://www.domain.com.au/
https://www.tenantapp.com.au/Rentals

家賃のところが “deposit taken” になっているものは、既にdeposit(手付金のようなもの)が支払われていて、現時点では(そしてほとんどの場合その先も)契約はできない状態のものです。

内見(inspection)は基本的に不動産屋さんの決めた日・時間(15分ほど)にしか開かれません(リクエストすれば、新たな日程を設定してくれる場合もあります)。指定された時間に建物前に集まっていれば、不動産屋さんが来て部屋に案内してくれます。日本では「オージーは時間にルーズ」的な話を耳にしたこともありましたが、内見に関してはそんなことはなかったです。時間通りに始まっていました。5分遅れて行ったら、他に誰もいなかったからか、撤収し始めていたこともあったくらいです。

入室する際に名前と電話番号を聞かれます。事前に上記のサイトから内見の登録ができる物件もあり、その場合は名前を伝えるだけでOKでした。伝えた電話番号宛に、ショートメッセージで応募フォームへのリンクを送ってくれるところが多かったです。ちなみに、住居関連に限らず、オーストラリアでは何かにつけてショートメッセージを使うので、現地の電話番号はあったほうがいいと思います(日本の番号とは桁が違うので、システムでハネられることがあります)。

設備について

以下の情報は、私が探していた条件下(アパートメント、1ベッドルーム)での話で、間取りやsuburb(地域)、家賃によっても違うと思います。あくまで参考情報として。

キッチン

オーブンはほとんどのところに備わっていました。食洗機も付いてるところも多かったです。中には冷蔵庫のある物件もありました。ガスやIHの他、古い物件だと電熱器のところも多かったです。

バスルーム

古い物件なら浴槽がありますが、新しめの物件だと浴槽はほとんどない印象です。シャワーブースに扉があるところとないところがありましたが、冬の寒さを考えると、扉付きの方がいいのかなと思います。

トイレですが、暖房便座や洗浄機能がついていた物件は皆無でした。日本のトイレを愛する方は、日本から貼るタイプの便座シートや、携帯ウォシュレットを持っていくといいと思います(私は持っていきました)。

洗濯関連(laundry)

洗濯機がついていたところは珍しかったですが、乾燥機は多くの物件に付いてました。古い物件だと、部屋の中に洗濯機置き場がなく、共用の置き場しかない物件もありました。

エアコン

ある物件・ない物件が半々でした(なぜかエアコンはほぼ100%ダイキン製)。エアコンありの物件でも、エアコンがついているのはリビングのみというのがほとんどで、寝室にエアコンがあるという物件はほぼ見当たりませんでした。夜は結構涼しいみたいなので、なくても何とかなるのかもしれません。またわかったらここに追記します。ちなみに、4月~9月(こちらの晩秋~初春)の間は、エアコンは数回しかつけませんでした。

水道代

郊外だと、水道代が家賃に含まれているところが多かったです。街中の方だと、別途支払う必要があったりします。物件情報のページには書かれてないことが多いので、内見時に確認したほうがいいと思います。

駐車スペース

駐車スペースはほとんどの物件に付いていました。利用料金のようなものはなく、家賃に含まれていると思います。ちなみに、こちらは車を買っても車庫証明みたいなものは不要です。

駐車場の片隅に物置(ケージ)が備わっている場合もあります。

家具

滞在が一年のみなので、最初はfurnished(家具が備わった)物件を狙ってましたが、物件の件数も少なく、応募しても審査が通りませんでした。furnishedの物件は相場より家賃が高いですし、上記のような厳しい状況でもあるので、短期滞在でもfurnishedにこだわらずに探した方がいいかもしれません。なお、furnishedと言っても、備わっている家具の種類は物件によってまちまちでした。

シドニーには、IKEAもありますし、Kmartのように家具・家電が安く買える店も多いです。あと、オーストラリアでは中古売買が盛んなので、Facebookのマーケットプレイスや、Gumtreeのようなフリマサービスでもお値打ちに揃えることができると思います。

設備についての注意

物件検索サイト上の物件情報にも、上記のような設備の有無は書いてありますが、そこの記述が間違っていることも多々ありました。実際に内見に行き、直接不動産屋さんと一緒に確認するのがいいと思います。

先に述べたとおり、今はなかなか審査に通らないので、設備に細かい条件を付けると、かなりしんどいです。こだわる点は1-2点に絞って探すのがいいのかなと思います。

応募

契約は早い者勝ちではなく、不動産屋さんや大家さんが審査して応募した人の中から一番いい人を選ぶ、という形です。日本のように、一日で何件も候補の物件を回って、そこで即決する、ということはできないので、自ずと長期戦になりやすいです。

提出書類

応募のときは、以下のような書類を提出しました。

  • 合計100ポイントになるような身分証明
  • ビザのGrant Letter、あるいはVEVO
  • 収入の証明
    • 1‐3ヶ月分の給与明細
    • 日本の職場に発行してもらった今年度分の給与見込み証明書(英文)
    • 銀行口座の残高証明書(英文)
  • 受入先の機関からのInvitation Letter
  • 職場に発行してもらった雇用証明書(英文)

Webシステムやメールで応募するところが多かったので、スキャンしたデータを持っておくと便利だと思います。持ってない・入手できないものがあったときは、その都度不動産屋さんに相談しました。

家賃

応募フォーム・書類に家賃を記入する項目があります。そこにはもともと設定されている値段とは違う値段を記入することができます。もともとの値段に、$10とか$20とかを上乗せした値段を書くと審査が通りやすいと聞きました。オファーされている値段より安い値段を書いた場合にどうなるかはわかりません。

契約期間

賃貸の契約期間の項目は、6ヶ月、12ヶ月などの中から選択する形になってます。私の場合は、賃貸期間が4月下旬から3月下旬=11ヶ月でしたが、Webフォームの場合、11ヶ月というのはシステム上では選べないので、備考欄に事情と一緒に書いたりしました。

職場や収入の情報

ちゃんと働いていて家賃を払うことができることの証明として、職場や収入の情報を書きます。給与を週給換算で記載しないといけない(こちらは家賃も給料も週単位で記載することが多い)ので、ボーナスの扱い等で少し戸惑いました。応募システムによっては、入力した上司の電話番号宛にショートメッセージで確認メッセージを送ったりするものもあって、(もちろん事前に了承は得ていましたが)恐縮しました。

自己紹介

頭を悩ませたのがこれです。なぜこの物件に入居を希望したか、支払い能力はあるか、いかに自分が物件にぴったりな人間なのかを書くと良いらしいです。ただ、長く詳細なものがいいというアドバイスと、サッと目通しできる短いものがいいというアドバイスもあって、どっちがいいのかは結局分からずじまいでした。

参考: https://www.realestate.com.au/advice/how-to-write-a-cover-letter-for-a-rental-application/

他にも、以前の賃貸歴、前の物件の大家さんからの推薦書(reference)などがあれば出せと言われます。アパートを貸すに値する信頼できる人物かどうかの判断材料になるみたいです。上司に書いてもらうという手もあるとのことなので、受け入れ先の先生にお願いしてみてもよかったのかもしれません。

応募後から、審査パス、そして入居まで

応募後は、審査に通ったら(あるいは通りそうなら)電話やメールで連絡が来ます。入居の意志はまだあるか、いつ入居できるか、とかそういうことを聞かれます。一方、通らなかった場合は、システムから機械的なメール(We regret to inform you that…から始まるやつ)が来ることもありますが、そういうメールすらない場合も多かったです。確認の電話をかけて直接「お前はだめだ(意訳)」と言われるパターンや、物件情報ページ上の価格が”deposit taken”になってて落ちたことを知るというパターンもありました。

審査をパスした場合は、depositとして一週間分の家賃を払うように言われます。払えば、1週間は物件をキープできて、そのまま契約した場合は家賃に充当されます(が、キャンセルしたら、返ってきません)。契約前にdepositを含めて2週間分の家賃を前払いすることが多いみたいです。

その後、bond(敷金的なもの)として家賃の4週分をオンラインで州の機関に支払い、不動産屋さんと契約書類を交わして鍵を受け取って契約完了です。あと、入居してすぐに現状チェック(すでにある傷や痛みのチェック)をして、1週間以内に不動産屋さんに返送しなければいけません。それもまた別のブログ記事にまとめようと思います。

(追記 2023/10/11)記事を書きました。

実際にやってみての感想

1か月弱で、内見は30件ほど、応募は15件ほどしました。

住まい探しが想像以上に長期戦になったのは、選んだのがそれなりに人気の地域だったこと、滞在が短期かつ中途半端なこと、オーストラリアでの賃貸歴がないこと、日本での収入がこちらの人の収入と比べて見劣りしたこと(オーストラリアの給料水準は高い)、といったところかと自己分析しています。あと、イースター休みを挟んだという、カレンダー的要因で長引いたところもあります。

現地の人と話していたら、現地の人でも数ヶ月決まらないこともあるから、1ヶ月弱で決まったならまだラッキーだと言われました。ネットでも数ヶ月は覚悟した方がいいという書き込みを見かけました。当初は「在外研究期間に入る前に家を探しに来るべきだったか」と思ったりもしましたが、こういう話を聞くと、事前に1-2週間来たところでどうにもならなかったんじゃないか、とも思います。

ただ、希望の条件をあれこれ言わなければ、すぐに決まることもあるみたいです。実際、私もうるさい工事現場の真ん前の物件とか、条件がよくないのに家賃が強気のコスパの悪い物件からは、審査パスの連絡が来ました。厳しい状況でも多少の人気・不人気はあるみたいです。ただ、そういうところも、その後1週間もすれば入居者が決まってました。

あと、私の場合は家族連れということで、大学へのアクセス以外にも、学区やスーパーへのアクセスなども考慮に入れながら地域を選びましたが、そういうことを考えなければ、もっと住まいが見つかりやすい地域はあるんじゃないかと思います。

最後に

とにかくお伝えしたいのは、今のシドニーで住まいを見つけるのは結構シンドイかもしれない、ということです。けどホテルはすぐに見つかると思うので、皆さんぜひシドニーに遊びに来てください。

(追記 2023/10/25)こんな記事を見つけました。個人間での契約や内見なしでの契約にはリスクもありそうです。

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